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特別縁故者は相続財産分与を受け取れる? 判例とともに解説

2023年09月28日
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特別縁故者は相続財産分与を受け取れる? 判例とともに解説

内縁の妻には相続権がありませんので、内縁の夫が死亡したとしても原則として遺産を相続することはできません。

しかし、内縁の夫と一緒に生活していたり、その介護や看病に尽力した内縁の妻に関しては、特別縁故者であると認められる可能性があり、それが認められれば、内縁の夫の遺産の全部または一部を受け取ることが可能になります。

内縁の夫に相続人がいる場合には、この制度を利用することはできませんが、相続人がいないという場合には、特別縁故者に対する相続財産分与の制度を利用できるか検討してみるとよいでしょう。

本コラムでは、特別縁故者が財産分与を受けるための手続きとその判例について、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士が解説します。

1、特別縁故者とは?

まず、特別縁故者となるための条件について解説します。

  1. (1)被相続人と生計を同じくしていた

    「生計を同じくしていた人」とは、被相続人と一緒に生活しており生活費を共有していた人、または、離れて暮らしていても仕送りなどにより経済的な援助を受けていた(養ってもらっていた)人のことをいいます。

  2. (2)被相続人の介護・看護をしていた

    被相続人と一緒に暮らしていなかったものの、被相続人の療養看護に努めた人は特別縁故者に該当し得ます。

    被相続人の親族ではなくても、献身的に療養看護を行っていた人については、特別縁故者に該当する可能性がありますが、報酬を得て介護や看護を行う介護士や看護士、家政婦などは、原則として特別縁故者とは認められません。

    なお、被相続人の療養看護に努めたということを証明するには、介護費用や医療費などの領収書、介護や看護記録、自宅訪問時の写真などの証拠が必要になります

  3. (3)被相続人と特別な縁故があった

    「被相続人と生計を同じくしていた人」または「被相続人の介護・看護をしていた人」に該当しなかったとしても、それらの人と同程度に被相続人と密接な交流があり、被相続人もその人に財産を譲りたいと考えるような特別な関係にあった場合には、特別縁故者と認められる可能性があります。

    たとえば、生前に被相続人と家族同然の交流をしていた友人、生前に被相続人が財産を譲りたいと話していた相手などが、「被相続人と特別な縁故があった人」にあたり得ます。

2、特別縁故者が遺産を受け取るまでの流れ

以下では、特別縁故者が亡くなった人の遺産を受け取るための手続きについて、流れを解説します。

  1. (1)相続財産清算人の選任申立て

    亡くなった人に相続人がいなかったとしても、自動的に特別縁故者が遺産を受け取ることができるわけではありません。
    特別縁故者が遺産を受け取るためには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立てをする必要があります

    「相続財産清算人」とは、被相続人の遺産を管理、換価して、債権者や受遺者への弁済、特別縁故者への財産分与または残余財産の国庫帰属などを行う役割を担う人です。

  2. (2)相続財産清算人の選任等の公告

    家庭裁判所により相続財産清算人が選任されると、そのことを知らせる内容と相続権を主張する相続人は申し出るべき旨が官報によって公告されます。

    被相続人の遺産相続が開始したことを広く知らせて、相続人がいる場合には申し出ることを促すための措置です。
    相続人捜索の公告期間は6か月以上で、その期間満了までに相続人が現れなければ、相続人はいないことが確定します。

  3. (3)相続債権者および受遺者に対する請求申出の催告

    上記の官報公告の後、相続財産清算人は、2か月以上の期間を定めた上で、相続債権者および受遺者に対して請求申出の催告を行います(この期間は(2)の期間が満了する前に満了します)。

    すでに判明している相続債権者および受遺者に対しては、個別に連絡がなされます。

  4. (4)相続債権者と受遺者への弁済

    申出期間内に相続債権者および受遺者から申し出があれば、相続財産の中から弁済が行われます。

    相続債権者と受遺者がいる場合には、先に相続債権者への支払いが行われ、それでも相続財産に余りがあれば受遺者への支払いが行われます。

  5. (5)特別縁故者に対する相続財産分与

    特別縁故者は、(2)の期間が満了して相続人の不存在が確定してから3か月以内に、家庭裁判所に相続財産の分与を求める申し立てを行います。

    家庭裁判所が特別縁故者に該当すると認めた場合には、相続財産の全部または一部を特別縁故者に分与する旨の決定を行います。
    この決定があれば、特別縁故者は、相続財産清算人から相続財産の全部または一部を受け取ることができます。

  6. (6)残余財産の国庫帰属

    相続債権者および受遺者への弁済、特別縁故者への財産分与によってもなお相続財産に余りがある場合には、相続財産清算人が残余財産を国庫に帰属させます。

3、特別縁故者への相続財産分与の裁判例

以下では、特別縁故者への相続財産分与が問題となった裁判例を紹介します。

  1. (1)特別縁故者への相続財産分与が認められた裁判例

    ① 東京高裁平成26年5月21日決定
    申立人は、生前の被相続人の自宅の修理を行ったり、定期的に安否確認を行ったりするなどし、被相続人と交流をもっていました。
    また、被相続人の死後は、遺体発見に立ち合い、遺体の引き取りや葬儀も申立人が執り行いました。

    このような事実関係を前提として、裁判所は、申立人を特別縁故者であると認定しました。
    しかし、被相続人との縁故の程度が濃密でなかったことを理由に、相続財産3億7000万円のうち300万円の限度で相続財産の分与を認めました。

    ② 名古屋高裁金沢支部平成28年11月28日決定
    申立人は、被相続人が入所していた介護施設を運営する社会福祉法人です。

    裁判所は、申立人の施設での被相続人への療養看護は、介護サービスとして通常期待される程度を超え、近親者が行う世話に匹敵すべきものであることから、申立人を特別縁故者であると認定して、相続財産の全部の分与を認めました。

  2. (2)特別縁故者への相続財産分与が認められなかった事例

    ① 東京高裁平成25年4月8日決定
    申立人は、被相続人の内縁の妻であり、被相続人と同居し、生計を同じくしていました。

    しかし、申立人は被相続人名義の遺言書を偽造し、相続財産を不正に相続しようとしたことが裁判によって認定されていたため、裁判所は、申立人への相続財産の分与を否定しました。

    ② 東京高裁平成27年2月27日決定
    申立人は、被相続人のいとこ5人でした。

    裁判所は、被相続人と申立人との関係が親族としての情誼に基づく交流を超えた親密な付き合いがあったとは認められないとして、申立人への相続財産の分与を否定しました。

4、遺産相続についてのトラブルは弁護士へ

遺産相続に関するトラブルでお困りの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)相続関係の手続きは非常に複雑

    相続が開始した場合には、まずは、「遺産を相続するかどうか」を早々に決める必要があります。被相続人に多額の借金がある場合などには、相続放棄が現実的な選択肢となってきますが、相続放棄をするためには、原則として相続開始を知ってから3か月以内に手続きをしなければならないためです。

    遺産を相続すると決めた場合には、相続人との間で遺産分割協議を進めていくことになります。
    この際にも、遺産分割の方法、遺産の評価、特別受益の有無、寄与分の有無などをめぐって対立が生じる可能性があります。
    このように相続関係の手続きは非常に複雑で、かなりタイトな期限が設けられているものもありますので、迅速かつ適切に進めていくために、ぜひ専門家である弁護士のサポートを受けることを検討してみてください。

  2. (2)内縁の配偶者に財産を残すためには生前の対策が重要

    内縁の配偶者には、法律上相続権が認められていません。
    また、寄与分や特別寄与料を受け取ることもできませんので、自分が亡くなった後に内縁の配偶者が生活に困らないようにするためには、生前に対策を講じておくことが重要です。

    内縁の配偶者への生前対策の基本となるのは、遺言書の作成です
    自筆証書遺言は自分一人でも作成することができる手軽な手段ですが、形式面の不備により遺言が無効になるリスクがある点に注意しなければいけません。
    また、ご自身に相続人がいる場合には、相続人の遺留分に配慮した内容でなければ、内縁の配偶者が遺留分のトラブルに巻き込まれてしまうリスクもあります。

    このようなリスクを回避するためには、専門家である弁護士に相談してアドバイスを受けることを検討してみてください。

5、まとめ

被相続人に相続人がいない場合には、生前に被相続人と特別な縁故があった特別縁故者が被相続人の遺産を受け取ることができる可能性があります。
ただし、特別縁故者として遺産を受け取るためには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てたり、特別縁故者に対する財産分与の申立てをする必要があります。

具体的にどのような手続きを行えばよいかわからないという方は、まずは弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、特別縁故者に該当するかどうかについてある程度の見込みをつけたうえで費用対効果の観点からアドバイスをしたり、申立てを行う場合には適切に手続きを進めていくことができます。
亡くなった方と特別な関係にあり、遺産を受け取ることができないかどうか気になる方は、ぜひべリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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