釈放と出所の違いは? 刑事事件の流れに沿って弁護士が解説
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2022年の木更津市統計書によると、凶悪犯や窃盗など、刑法犯罪種別発生件数は1074件で、前年より43件増加しました。
罪を犯して逮捕された後、さまざまな手続きを経て「釈放」や「出所」となりますが、それぞれの違いをよく知らない方も多いのではないでしょうか。また、釈放に似た言葉として、「仮釈放」や「保釈」もあります。
この記事では、釈放・保釈・仮釈放・出所といった言葉の意味や、それぞれの特徴と違いについて、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士が解説します。
1、「釈放」「保釈」「仮釈放」「出所」とは
逮捕で身柄を拘束されてしまっても、刑事事件の手続きの流れの中で、解放されるタイミングは複数あります。刑事事件の手続きの流れと、「釈放」「保釈」「仮釈放」「出所」について解説します。
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(1)刑事事件の流れと釈放のタイミング
刑事手続きの中で、釈放や保釈が認められるタイミングは決まっています。そのため、釈放や保釈の意味を正しく理解するためには、刑事事件の手続きの流れを正しく理解しておく必要があります。
刑事事件の大まかな手続きの流れと、身柄解放のタイミングは、以下の通りです。- 犯罪の発生、被疑者の逮捕
└釈放タイミング ① - 検察官送致
└釈放タイミング ② - 勾留請求・終局処分(起訴・不起訴)
└釈放タイミング ③ - 刑事裁判
└保釈 - 犯罪の発生、被疑者の逮捕
└仮釈放
└出所
・釈放タイミング ①
警察官により逮捕された場合、警察は、その身体拘束(逮捕)から「48時間以内」に釈放または送検(検察官送致)をしなければなりません。この時点で疑いが晴れたり、微罪処分と判断されたりすれば釈放となります。微罪処分については「(1)釈放条件 ① 微罪処分」で後述します。
・釈放タイミング ②
警察官が留置の必要があると判断した場合には、被疑者の身柄と事件の書類等が検察官に送られます(検察官送致、略して送検)。検察官は送検から「24時間以内」かつ逮捕から「72時間以内」に被疑者の勾留を請求するか否かを判断し、勾留請求がなければ釈放となります。
・釈放タイミング ③
勾留決定がされた場合、最長20日間の勾留がなされる可能性があります。この勾留期間中に、検察官は被疑者を起訴するのか不起訴にするのかを判断します。不起訴となれば釈放となります。
保釈や仮釈放、出所については、「(3)保釈とは?」「(4)仮釈放とは?」「(5)出所とは?」で後述します。 - 犯罪の発生、被疑者の逮捕
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(2)釈放とは?
「釈放」とは、身体拘束から解放されることです。前述の通り、起訴前の釈放のタイミングは主に3つあります。
- ① 取り調べ後に微罪処分となって釈放される場合が挙げられます。微罪処分とは、警察段階で刑事手続きを終了させる処分のことで、不送致とも呼ばれます。
- ② 検察官に事件が送致されたものの、勾留請求がなされずに釈放されるケースです。
- ③ 勾留された場合でも不起訴になった場合には釈放されることになります。
勾留決定の阻止や不起訴処分を勝ち取るためには、弁護人の意見書などを裁判所に提出する、被害者と示談交渉するなど、弁護士の働きかけが重要となります。
- ① 取り調べ後に微罪処分となって釈放される場合が挙げられます。微罪処分とは、警察段階で刑事手続きを終了させる処分のことで、不送致とも呼ばれます。
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(3)保釈とは?
「保釈」とは、一定額の保証金(「保釈金」と言われることもあります)を納めることを条件として、身体拘束から解放される制度のことをいいます。
保釈は、起訴後から請求することができるようになります(刑法第88条)。起訴された後であれば、公判が始まる前であっても、判決が確定するまではいつでも保釈を請求することができます。 -
(4)仮釈放とは?
仮釈放とは、有罪判決を受けて刑事施設に収容されていた者が、刑期の一定割合(3分の1)を終えた後(無期刑の場合は10年を経過後)に仮に釈放されることです。
仮釈放は、服役中に「改悛の状がある」と判断された場合に適用されます(刑法第28条)。 -
(5)出所とは?
「出所」は、法律上に定義のある言葉ではありませんが、一般には受刑者が刑期を終えて刑務所から出てくることを指します。これは、刑期をすべて終えたことによる身柄の解放であり、法的な罪を償ったことで自由になる状態を意味します。
2、釈放・保釈される条件
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(1)釈放条件 ① 微罪処分
微罪処分とは、刑事訴訟法246条ただし書の「検察官が指定した事件」について適用することできるもので、「犯罪事実が極めて軽微」(犯罪捜査規範第198条)な事件に限り、警察が検察官に送致しないこととする処分です。
具体的には、以下のようなケースについては、微罪処分として処理され、速やかに釈放される可能性があります。- 窃盗、置き引き、暴行など衝動的な犯行で、犯情が軽微である
- 初犯である
- 被疑者に監督人がいる
- 被害弁償や示談が済んでいる
- 被害者が処罰を望んでない
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(2)釈放条件 ② 勾留要件を満たしていない
検察官による勾留請求は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合において、さらに以下のいずれかの要件を満たしていなければ、裁判所が認めないということになっています(刑事訴訟法第207条1項、60条1項)。
- 被疑者が定まった住居を有しない場合
- 被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合
- 被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある場合
したがって、住居が定まっており、逃亡や罪証隠滅のおそれもないことを弁護人を通じて検察官や裁判官に説明していくことで、勾留の回避や釈放を獲得できる可能性があります。
早期に弁護士に相談したうえで、勾留回避に向けた弁護活動を始めてもらうことが重要でしょう。 -
(3)釈放条件 ③ 不起訴
起訴・不起訴の判断をすることができるのは、検察官だけです。担当の検察官が不起訴と判断した場合には、身柄は釈放され、前科も付かずに日常生活に戻ることができます。
不起訴処分の理由としてよくあるのは、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つです。- 嫌疑なし:被疑事実について被疑者がその行為者でないことが明白である、または犯罪の成否を認定することができる証拠がないことが明白であることを理由に行われる不起訴処分です。
- 嫌疑不十分:被疑事実について犯罪の成立を認定することができる証拠が不十分であることを理由に行われる不起訴処分です。
- 起訴猶予:被疑事実の嫌疑が十分な場合であっても、被疑者の性格・年齢及び境遇・犯罪の軽重・情状・犯罪後の情況によって訴追を必要としないことを理由に行われる不起訴処分です。
検察官により起訴されると、99%という高い確率で有罪判決を受けることになるため、被疑者としてはなんとか不起訴処分を獲得することが最も重要です。起訴されて執行猶予付き判決を得られたとしても、前科が残ることになってしまうため、起訴される前に弁護士に相談することが重要でしょう。
- 嫌疑なし:被疑事実について被疑者がその行為者でないことが明白である、または犯罪の成否を認定することができる証拠がないことが明白であることを理由に行われる不起訴処分です。
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(4)保釈請求の条件
裁判所は、保釈の請求を受けたときには、原則として、保釈を許さなければならないと規定されています(刑法第89条参照)。これを必要的保釈・権利保釈といいます。
ただし、以下のケースでは保釈が認められないため注意が必要です。- 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
- 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
- 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
- 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
- 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
- 被告人の氏名又は住居が分からないとき
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3、釈放や保釈された後はどうなる?
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(1)釈放の後│微罪処分・不起訴処分の後
微罪処分、不起訴処分となった場合には、刑事事件は終了することになるため、前科は残らず、社会に戻って日常生活を送れるようになります(ただし、前歴は残ります)。
しかし、上記以外の場合には、釈放されたとしても捜査は継続しているため、検察から呼び出されて取り調べを受ける可能性はあります。余罪等があれば再逮捕されるおそれもあります。 -
(2)保釈された後
保釈された被告人は刑事裁判を受けなければなりません。また、保釈される場合には、裁判所から保釈の条件が提示されるため、それらを順守しなければなりません。
保釈のために納付した保釈保証金は、裁判所が保釈の際に定めた条件等を順守して刑事裁判に出頭し、判決の言い渡しを受けた場合には、全額返金されることになります。
4、まとめ
釈放や保釈など、身柄拘束の解放について解説してきました。釈放とは、主に起訴前の身体拘束からの解放のことをいい、保釈は、起訴された後に被告人が保釈金を納めることで解放されることを指します。
ただし、身柄拘束から解放された後もまだ捜査は継続しているということもあり、その場合は不起訴処分を得られるまで警察や検察官から呼び出しを受ける可能性があるので注意が必要です。
もし刑事事件で何かお困りの場合には、すぐに弁護士にご相談ください。ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスには刑事事件の実績がある弁護士が在籍しております。安心してご相談ください。
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