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前の住人に届いた郵便を捨てることは違法? 対処法を解説

2023年11月28日
  • その他
  • 郵便
  • 前の住人
前の住人に届いた郵便を捨てることは違法? 対処法を解説

移住や引っ越しにあたって忘れはいけないのが、郵便局への転居の届出や新住所への転送の届出です。この手続きをしていないと、郵便物が引っ越し前の住所に届けられてしまいます。

逆に、アパートやマンションの郵便受けに、以前の住人宛ての郵便物が届いてしまうこともあります。このとき、迷惑だからという理由で勝手に捨てたり、気になって封を開けて中身を見たりしてしまうと、犯罪に問われる可能性がある点に注意が必要です。

本コラムでは、前の住人宛ての郵便物を捨てたり勝手に封を開けたりした場合に問われる可能性のある犯罪について、ベリーベスト法律事務所木更津オフィスの弁護士が解説します。

1、なぜ? 前の住人宛ての郵便物が届いてしまう理由

まず、マンションやアパートなどの郵便受けに前の住人宛ての郵便物が届いてしまうことがある理由について解説します。

  1. (1)前の住人が転居届を出し忘れている

    引っ越しをしたときは、郵便物の旧住所への配達をストップして新住所へと配達してもらうために、郵便局に「転居届」を提出する必要があります。
    転居届を提出しておけば、旧住所宛てに送られた郵便物を新住所へと転送する転送サービスも利用できるため、郵便物が旧住所に配達されることはありません。

    しかし、もし前の住人が転居届を提出するのを忘れていたら、郵便局はその住所にはすでにその人が住んでいないという事実を知らないままなので、誤って配達されてしまうことになるのです。

  2. (2)事情があってわざと転居届を出していない

    通常、引っ越しをすれば転居届を提出しますが、事情があってわざと転居届を提出していないこともあります。

    たとえば、前の住人が借金を重ねて逃げるように転居した場合には、郵便物が届くことをわずらわしく感じたり、転居先を知られてしまう事態を恐れたりして、転居届を提出しないままにしている可能性があります。

  3. (3)古いデータをもとに配達している

    一般的な郵便物は日本郵便株式会社が配達していますが「メール便」と呼ばれる配送サービスについては日本郵便だけでなく運送各社が配達しているものもあります。
    日本郵便と提携している「ゆうメール」については郵便局のデータベースを利用するため転居・転送サービスを利用できますが、運送各社が独自に提供しているメール便では郵便局のデータベースを利用できません

    宛先の住所や宛名のとおりに配達するので、古いデータで送られたメール便であれば前の住人が郵便局に転居届を提出していても誤って配達される可能性があるのです。

2、他人の郵便物は勝手に開けたり捨てたりしてはいけない!

自分がいま住んでいる住所に宛てて送られた郵便物でも、宛名が違っていれば、自分に宛てられたものではないのは当然です。
送り主をみて興味が湧いてしまったり、あるいは迷惑に感じて腹が立ってしまったりすることもあるかもしれませんが、勝手に封を開けたり、捨てたりといった行為は犯罪に問われる可能性がある点に注意が必要です

  1. (1)勝手に封を開けると「信書開封罪」

    正当な理由がないのに封をしてある信書を開けると、刑法第133条の「信書開封罪(信書開披罪ともいう)」が成立します。

    「信書」とは特定の受取人に対して差出人の意思を表示したり、事実を通知したりする文書です。
    何らかの事がらを伝える手紙などの書状のほか、納品書や請求書、通知書、許可書、証明書なども信書にあたります。
    なお、新聞・雑誌、カタログ、チラシなどは信書にはあたりません。

    「正当な理由」とは、たとえば夫宛てに請求書が届いたので生計を共にしている妻が開封するなどの推定的承諾がある場合や、未成年の子ども宛てに届いた郵便物を親権者である親が開封するといった法令上の正当行為である場合を指します。
    「封をしてある」とは、のり・テープ・圧着などの方法によって封をしてあるという意味です。

    つまり、封が存在しない一般的なはがきの場合は、信書開封罪の処罰対象にはなりません。
    「開ける」とは封を破ったり、のり・テープ・圧着などをはがしたりする行為です。
    また、信書開封罪が成立するには「故意」が求められます
    故意とは簡単にいえば「わざと」という意味です。
    自分宛てだと勘違いして開封したときは故意を欠くので信書開封罪は成立しませんが、自分宛てではないと気づいているのに開封すると故意があるため信書開封罪が成立します。

    信書開封罪の法定刑は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金です。

    なお、信書開封罪は被害者からの告訴がないと罪を問われない「親告罪」です
    被害者との示談交渉によって和解し、告訴の見送りや取り消しが得られれば刑罰を回避できます。
    一方で、被害者が告訴を断行すればかならず検察官のもとへと事件が送付されるという危険もはらんでいます。
    告訴は被害者の「犯人を厳しく罰してほしい」という意思表示であるため、厳しい処分が言い渡されてしまう可能性もある点に注意してください。

  2. (2)勝手に捨てると「信書隠匿罪」

    封を開けなくても、他人宛ての信書を勝手に捨てたり隠したりすると、刑法第263条の「信書隠匿罪」に問われます。
    ここでいう「隠匿」とは信書としての効用を害する行為を指すので、捨てる・破る・燃やす・ぬらす・隠し持つなど、さまざまな行為が該当すると考えられます。

    法定刑は6か月以下の懲役もしくは禁錮または10万円以下の罰金もしくは科料で、信書開封罪と比べると軽い刑罰が定められています。
    この点については、信書開封罪が日本国憲法によって保障されている「通信の秘密」を保護する犯罪として「秘密を侵す罪」の章に規定されている一方で、信書隠匿罪は財産の効用を損なう行為を罰する「毀棄及び隠匿の罪」の章に規定されていることが関係します。
    信書という「物」よりも、信書に示されている「秘密」のほうが重視されると考えればわかりやすいでしょう

    なお、信書隠匿罪も親告罪なので、被害者の告訴がなければ罪を問われることはありません。

3、前の住人の郵便物はどうすればいい? 正しい対応

以下では、前の住人宛ての郵便物が届いた場合に取るべき対応を解説します。

  1. (1)誤配達であることを郵便局にしらせる

    郵便の公平な提供のために定められている「郵便法」には、郵便物が誤って配達されたときの義務が定められています。
    郵便法第42条1項によると、誤配達を受けた者はその郵便物に「転居済み」や「宛名違い」など誤配達である旨を表示したうえでポストに投函するか、郵便局に通知しなければなりません

    郵便局の公式サイトでは、他人宛ての郵便物が届いたときの対応について、次のようにアナウンスしています。

    • 郵便物の表面に誤配達である旨を記載した付せんなどを貼って、郵便ポストに投函する
    • 郵便物の誤配達があったことを、最寄りの郵便局またはお客様サービス相談センターに連絡する


    マンションやアパートなどの集合住宅では「集合ポストの上に置いておく」といった対応を慣例的に取っているところもあるようですが、重要な信書で紛失や毀損が起きてしまうと損害賠償を請求されてしまう可能性もあります
    法律の定めを守って、正しい対応を取るように心がけてください。

  2. (2)信書にあたらないメール便などの場合の対応

    ポストに投函されるもののなかには、信書ではなく運送各社が提供しているメール便などで届けられたものもあります。
    表面に「これは郵便物ではありません」「〇〇メール便」などの記載があるものは郵便物ではないので、郵便局に連絡しても対応してもらえません。
    この場合には、運送各社に連絡して対応を求めることになります

    メール便は郵便物ではないので、郵便法に定められている誤配達を受けた場合の義務は課せられません。
    ただし、他人宛ての配達物を自分のものにすれば、刑法第235条の窃盗罪や同第254条の遺失物横領罪・占有離脱物横領罪に問われる可能性があります。
    また、勝手に封を開けた場合には同第261条の器物損壊罪に問われる可能性がある点に注意してください。

4、前の住人宛ての郵便物を勝手に開けてしまったらどうする?

以下では、誤って配達された前の住人宛ての郵便物を勝手に開けてしまった場合に、取るべき対応を解説します。

  1. (1)誤って開封したとき

    自分宛ての郵便物だと勘違いし、誤って開封してしまったとしても、故意がないため信書開封罪には問われません。
    ただし、郵便法第42条2項には、誤配達された郵便物を誤って開封した者の義務が定められています。
    誤って郵便物を開封した場合は、これを補修したうえで、誤って開封した旨と、氏名・住所を郵便物に表示しなければなりません
    この定めに従えば、大きめの付せんやメモ紙などに「誤って開封しました 宮崎市〇〇 〇〇番地〇号 △△△△(氏名)」などと記載して郵便ポストに投函するか、または郵便局の窓口でその旨を説明するのが正しい対応です。

    本来、誤って開封した場合は信書開封罪などの罪に問われないので郵便局にその旨を伝えれば何の問題もありません。
    しかし、本来の受取人から「故意に開封したのではないか?」「同封していたはずのものがなくなっている」などの疑いを向けられてしまうおそれもあります。
    もしトラブルになった場合は、法律の専門家である弁護士に相談してアドバイスを求めてください。

  2. (2)興味本位で開けてしまったとき

    誤配達された郵便物やメール便などを興味本位で開封すると、信書開封罪などの犯罪が成立します。
    警察に呼び出されて取り調べを受けたり、刑事裁判で罪を問われる立場になったりするので、心あたりがある場合には積極的に解決を目指しましょう。

    信書開封罪などの事件を穏便に解決するには、被害者との示談交渉を進める必要があります
    しかし、本来の受取人である被害者がどこに住んでいるのかもわからないことから、個人で交渉を進めるのが困難な可能性もあります。
    交渉に関してお困りの際には、弁護士に相談することも検討してください。

5、まとめ

誤って配達された前の住人宛ての郵便物を勝手に開けたり捨てたりすると、犯罪に問われる可能性があります。
郵便物が誤配達された場合には、ルールに従って誤配達である旨を示したうえで郵便ポストに投函するか、郵便局に連絡しましょう。
また、もし興味本位などで他人宛ての郵便物を開封してしまった場合は、そのまま放置していると警察による捜査の対象になってしまうおそれもあります。
不安な場合には、ベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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