離婚でもらえるお金は? 慰謝料や手当、公的支援を弁護士が解説

2025年11月26日
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離婚でもらえるお金は? 慰謝料や手当、公的支援を弁護士が解説

木更津市の公表する「木更津市統計書」によると、木更津市では令和6年に239組の夫婦の離婚が成立しました。

離婚をする際は、今後のお金のことが心配になる方もいるでしょう。相手から受け取る慰謝料や、公的な支援制度によって受け取れる手当など、離婚後に受け取れるお金を把握することで、今後の家計について考えやすくなります。

本コラムでは、離婚後にもらえるお金の種類や、離婚後に金銭トラブルを回避する方法などについて、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士が解説します。


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1、離婚時に家庭内で妻がもらえる可能性のあるお金

離婚をすると、相手から以下のようなお金を受け取れる可能性があります。

それぞれ、受け取るための条件や金額相場について、詳しく見ていきましょう。

  1. (1)慰謝料

    浮気(不倫)やDVなどの責任を追及できる場合は、それによる精神的苦痛に対して損害賠償である「慰謝料」を請求可能です。
    ただ、慰謝料を請求すると、相手から「そんなことはしていない」などと支払いを拒否されることもあるため、事前に有効な証拠を収集しておきましょう

    たとえば、配偶者が浮気していた場合は、相手との肉体関係がわかる写真や動画、メールやSNS上でのやりとり、ラブホテルの領収書、興信所の調査書などが有効です。

  2. (2)財産分与

    婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産について、離婚時に分けることを「財産分与」といいます。財産分与では、夫婦で「財産を2分の1ずつ」分けるのが原則です

    財産分与の対象になるのは、結婚してからの預貯金・現金、家具家電、車、不動産、保険、株式証券などで、これらを共有財産と呼びます。

    一方対象にならないのは、結婚する前の預貯金、親や親族から贈与を受けた・相続した財産で、これらは特有財産と呼びます。

    なお、「専業主婦(主夫)は、財産分与が受けられなさそう」と不安に思われている方もいるかもしれません。しかし、専業主婦(主夫)も家庭の財産形成に貢献していると考えられるため、財産分与を請求することができます。

  3. (3)養育費

    子どもがいて、親権が自分にある場合は「養育費」を請求することが可能です。

    養育費の金額は、話し合いで自由に決めることができますが、家庭裁判所が公表する「養育費算定表」を参考にすることで、養育費の相場がわかります。養育費算定表は、子どもの年齢・人数、父母の年収から、養育費の相場を簡易迅速に計算できる早見表です。

    子どもの健全な成長を支えるため、養育費は欠かせません。そのため、金額を実際に話し合う前に、算定表で相場を確認しておくことをおすすめします。

  4. (4)年金分割

    離婚時に受け取れるお金ではありませんが、将来受け取れる年金額で損をしないために大切なのが「年金分割」です。

    年金分割は、婚姻期間中に納付した年金保険料の金額に対応する厚生年金記録を、離婚時に分割して各自の年金にする制度のことを指します。これをしないと、たとえば長年専業主婦(主夫)やパート勤務だった方は、将来受け取れる年金額が少なくなってしまうのです
    年金分割の割合は、原則として夫婦で2分の1ずつです。

    なお、年金分割は年金事務所で手続きをしないと年金額に反映されないため、ご留意ください。

  5. (5)婚姻費用

    離婚する前に別居していた場合は、別居時から離婚成立までの期間、収入の少ない側から収入の多い側に対して「婚姻費用」を請求することができます。

    婚姻費用は養育費と同様に話し合いで決められますが、家庭裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を利用することで、自分が該当する相場を簡易迅速に計算することが可能です。

  6. (6)そのほか

    交渉次第では、離婚後しばらくの間、配偶者から生活費の支援を得られる可能性があります

    ただし、相手は原則として、元配偶者に離婚後の生活費を払う義務がありません。あくまでも任意であるため、相手から拒否されてしまうと、生活費支援を受けることはできないでしょう。

    なお、長年専業主婦(主夫)であった方や、病気やケガで仕事ができない方は、先述のとおり、「財産分与」の一貫として離婚後の生活費を一定期間受けられる可能性もあります。これを扶養的財産分与と呼びます。

    自分が扶養的財産分与を受けられるケースに該当するかわからない場合は、弁護士に相談してみましょう。

2、公的にもらえるお金・支援制度

離婚をすると、家庭内のお金のほかに、以下の公的なお金を受け取ることも可能です。

それぞれの支援制度についてご紹介していきます。

  1. (1)児童扶養手当

    「児童扶養手当」は、ひとり親家庭などの生活の安定と自立促進に寄与し、児童福祉の増進のために支給される手当です。支給額は所得額や子どもの人数によって異なります。

    受給期間は、子どもが18歳に達する日以降の最初の3月31日まで(障害児の場合は20歳未満)の期間です。

  2. (2)児童手当

    「児童手当」は、0歳から18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にいる子どもの養育者に支給される手当です。支給の条件がある児童扶養手当と異なり、該当する子どもがいる「全世帯」が対象になります。

    児童手当は、原則として主たる生計者、すなわち所得が高い親が受給しますが、離婚や別居をしてからは、子どもと同居している親が受給することが可能です

  3. (3)特別児童扶養手当

    「特別児童扶養手当」は、20歳未満で精神または身体に障害を持つ児童の福祉増進のために、その監護・養育者に支給される手当を指します。

    一定の所得制限がありますが、各々の受給要件を満たせば、児童扶養手当や児童手当と重複して受給することも可能です

  4. (4)就学援助

    経済的な理由から就学が困難な児童および生徒のために、学用品や給食費、修学旅行費などを援助する制度を「就学援助」といいます。

    就学援助は市区町村の制度であり、自治体ごとに援助内容が異なるため、詳しくは該当する自治体にご確認ください。

  5. (5)母子父子寡婦福祉資金

    「母子父子寡婦福祉資金」とは、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭、父子家庭の経済的自立支援・子どもの福祉増進のために、各種資金の貸し付けを受けられる制度です。

    資金の種類によりますが、無利子または低金利で資金を借りることができます。

  6. (6)ひとり親家庭の医療費助成

    「ひとり親家庭の医療費助成」は、ひとり親家庭の医療費を一部助成し、ひとり親家庭の健康維持・福祉増進を図るための制度です。

    市区町村によって内容が異なるため、詳しくは各自治体の公式ホームページなどをご確認ください。

  7. (7)生活保護

    「生活保護」は、資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する方に対して、困窮の程度に応じた必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長するための制度です。

    受給金額は、世帯の状況のほか、地域によっても異なります。

  8. (8)住居確保給付金

    「住居確保給付金」は、離職や廃業などで収入が減少し、住居を失うおそれがある方に、再就職に向けた活動を行うなどを要件に、家賃相当額を一定期間補助する制度です。

    給付のためには、再就職活動のほかに、以下の要件を満たす必要があります。

    • 収入が「基準額(市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12)+家賃額」より少ない
    • 資産の合計が基準額の6倍以下

    なお、制度の対象や金額は自治体によって異なります。また申請には期限がある場合もあるため、早めに自治体に確認することが重要です。

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3、離婚時に金銭トラブルを避けるには?

慰謝料や財産分与、養育費などの金銭についての取り決めを行う際は、「金額や支払い方法で揉める」、「相手が支払いを拒否・放置する」といったトラブルが起きることもあるでしょう。

離婚時に金銭トラブルを避けるためには、どのような防止策をとればいいのでしょうか?詳しく解説していきます。

  1. (1)内容を明文化する

    金額や支払い方法で揉めることを防ぐため、離婚協議書や公正証書を作成し、内容を明文化しておきましょう。
    特に、公正証書を作成しておくことで、相手の支払い拒否への対応がとりやすくなります

    「公正証書」は、公証役場で作成する公文書です。離婚協議書よりも証拠能力が高いため、取り決めた金額や支払い方法について相手と食い違いが生じ、裁判になったとしても、有効な証拠となります。

    また、公正証書に「支払い義務者は、未払い時に強制執行を受けることに合意する」といった強制執行認諾文言を付けておけば、裁判をしなくても相手の預貯金や給与を差し押さえて未払い分の金銭を回収することが可能です

  2. (2)証拠を残す

    先述のとおり、慰謝料請求時には証拠が欠かせません。証拠を残しておくことは、裁判になったときにも役立ちます。

    たとえば、相手のDVを理由に離婚しようとしたところ、相手から離婚を拒否されてしまったとしましょう。話し合いで離婚に納得してもらえなければ、調停・裁判といった手続きが必要になります。

    裁判では、裁判官が離婚について認めるかどうか判断しますが、ここで重要になるのが証拠の有無です。DVは離婚理由として認められますが、DVを受けていた証拠がなければ、「DVがあった」という事実自体が認められず、離婚も認められません。

    DVを受けていた証拠としては、怪我の写真や診断書、DVの様子を記録した録音・録画データ、警察や配偶者暴力相談支援センター等への相談記録、DV被害を記載した日記・メモ等が考えられます

    慰謝料請求だけでなく、裁判に進む場合に備えて証拠を残しておくことが重要です。

  3. (3)弁護士などの第三者の介入で冷静に進める

    話し合いが白熱すると、「絶対に養育費は払わない」、「財産分与したくない」などと言われてしまうこともあります。そのため、第三者に介入を依頼することをおすすめします。

    お互いの親を第三者として介入させることもできますが、親は自分の子どもの味方をして、ますますこじれてしまうことも考えられるでしょう。
    その点、弁護士であれば、冷静かつ円滑に話し合いを進めやすくなります

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4、離婚でもらえるお金を弁護士に相談するメリット

離婚によるお金の心配がある方は、弁護士に相談をしましょう。弁護士に相談するメリットをいくつかご紹介します。

  1. (1)慰謝料や財産分与の金額計算ができる

    慰謝料や財産分与は、家庭ごとに適正な金額が異なります。夫婦だけで話し合うと、相場より慰謝料が少ないのに気づけない、財産分与の対象財産を正確に把握できない、といった理由から、損をしてしまう可能性があるでしょう

    弁護士に依頼することで、適正な金額を知ることができます。

  2. (2)公正証書の作成をサポートできる

    相手と離婚条件を取り決めても、離婚後に養育費などを支払ってもらえないこともあるでしょう。そのようなリスクに備えて、公正証書を作成することをおすすめします。
    弁護士であれば、法的に不備がないかなどを確認しながら、公正証書の作成をサポート可能です。

  3. (3)心理的負担が減る

    離婚やそれに伴うお金についての話し合いは、どうしても感情的になってしまうこともあるでしょう。揉めて話が円滑に進まなければ、それだけ心理的負担がかかります。

    弁護士は冷静に相手と交渉を行うため、スムーズに話が進む可能性が高まるでしょう。相手と顔を合わせたくないときには、交渉を一任することもできるため、大きなストレスを抱えずに離婚の準備を行うことができます

  4. (4)離婚後の未払い対策ができる

    公正証書で取り決めていても、養育費が支払われないというケースは残念ながら少なくありません。実際にそのような状況になると、どう対応すればいいかわからず、何カ月も養育費を受けられないといったことも起こりうるでしょう。

    弁護士であれば、離婚後にトラブルがあっても、差し押さえなどで適切な対応をとることができます。

5、まとめ

離婚時にもらえるお金は、家庭内のものと公的なものに分かれており、どちらも正しく把握することが大切です。トラブルを防ぎ、適正額の慰謝料や養育費などを受け取るためには、弁護士への早期相談がもっとも確実な対策になります

離婚をして今後のお金に不安がある方は、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています