離婚で不利になる言葉とは? 離婚を進めるうえで気を付けるべきこと
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離婚手続きでは、離婚協議や離婚調停など、夫婦で話し合いをする場があります。
こうした場で不利になる言葉や言動をしてしまうと、離婚を進めるうえで不利になる可能性がありますので、発言や行動には十分に気を付ける必要があります。離婚協議や離婚調停を有利に進めるためには、いくつかポイントがありますので、しっかりと押さえておくことが大切です。
今回は、離婚で不利になる言葉や離婚を進める際に気を付けるべきことなどについて、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士が解説します。


1、離婚を進めるうえで不利になる可能性がある言動
離婚をする場合、まずは夫婦で話し合いをすることになります。その際には、以下のような言動をとると不利になる可能性がありますので注意が必要です。
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(1)感情的な言動
離婚の話し合いにおいて、お互いにこれまでの生活での不満や相手の嫌なところなどを伝えると、徐々に冷静さを失ってしまい感情的な言動をしてしまうことがあります。
感情的になって冷静な話し合いができないと、本題である離婚や離婚条件についての取り決めをすることができません。お互いに誹謗中傷するだけで終わってしまい離婚成立まで長い時間がかかってしまいます。
また、夫婦に子どもがいる場合、両親が感情的になって言い争いをしている状況は、子どもにも悪影響を与えます。両親が不仲になれば離婚後の面会交流にも支障が生じる可能性があります。
そのため、離婚の話し合いはお互いに冷静になって行うことが大切です。 -
(2)子どもを置いて家出する
離婚する前に、子どもを置いて家出をするのは避けるようにしましょう。
離婚時には、子どもの親権を決めなければなりませんが、親権を決める際の基準のひとつに「継続性の原則」というものがあります。これは、子どもが現在の環境において安定的な生活ができているのであれば、特段の事情がない限り、その状況を変更すべきではないという考え方です。
子どもを置いて家出をしてしまうと、親権を決める際に不利になる可能性があります。子どもの親権を希望するなら子どもと一緒に別居した方がよいでしょう。 -
(3)一方的な別居
夫婦には、「同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という民法上の同居義務があります。
そのため、正当な理由なく一方的に別居をしてしまうと、「悪意の遺棄」に該当し、離婚原因や慰謝料の請求事由になるおそれがあります。別居をするのであれば配偶者と話し合いをして相手の同意を得てから別居をするのが安全です。
ただし、配偶者によるDVから逃げるために別居をするようなケースでは、正当な理由がありますので、配偶者の同意がなかったとしても不利になる心配はありません。 -
(4)配偶者以外と交際する
離婚を前提に話し合いをしている状況であっても、離婚が成立するまでは配偶者以外の人と交際をするのは避けましょう。
離婚が成立する前に配偶者以外と肉体関係を持ってしまうと、不貞行為に該当し、有責配偶者として相手から慰謝料を請求されるリスクがあります。また、異性関係で配偶者に疑いを抱かれてしまうと、財産分与や親権などの取り決めにおいても、スムーズな話し合いが困難になるおそれがあります。
そのため、正式に離婚が成立するまでは配偶者以外の人との交際は避けた方が賢明です。
2、離婚調停で気を付けたい、不利になる言葉
協議による離婚が難しいときは、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。
離婚調停では、調停委員という第三者を介して話し合いが進められますが、不用意な言葉を発してしまうと、調停委員の反感を買ってしまうリスクがあります。気を付けるべき具体的な発言について解説します。
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(1)相手の悪口や批判
離婚調停では、調停委員から離婚を決断するまでに至ったこれまでの経緯が聴取されます。
婚姻生活において相手に対してさまざまな不満があるかもしれませんが、調停では、相手の悪口や批判は避けた方がよいでしょう。
調停委員が聞きたいのは、あくまでも離婚原因となる具体的な事実ですので、個人的な主観や評価ではなく、できるだけ事実を淡々と伝えるようにしてください。相手の悪口や批判ばかり発言していると、調停の進行が滞るだけでなく、調停委員に「この人は感情的な発言ばかりする人だ」という印象を持たれてしまいます。 -
(2)嘘や矛盾する発言
離婚調停では、嘘や矛盾する発言はしてはいけません。
たとえば、相手が証拠を提出しているにもかかわらず「不貞行為をしていない」と言い張り続けると、調停委員からは「信用できない人だ」という印象を持たれてしまいます。調停委員の信用を失うと、離婚調停を有利に進めることは困難になります。 -
(3)根拠がない発言
離婚調停では、根拠がない事実を発言することも避けた方がよいでしょう。
たとえば、「夫は不倫している」、「他にも財産分与の対象となる財産があるはずだ」といった発言です。もちろん、このような発言の裏付けとなる証拠があるのであれば、調停を有利に進めることができる可能性があります。しかし、証拠がない状態では調停委員も発言の真偽を判断することができませんので、無駄に調停を長引かせるだけでメリットはありません。 -
(4)調停委員に対する批判
調停委員は、公正中立な立場で調停手続きに参加しますので、基本的にはどちらの味方にもなることはありません。
しかし、調停委員に対する批判を繰り返す人に対しては、調停委員も不快な感情を抱いてしまいます。そのような状態では積極的に相手方を説得してくれることも期待できません。調停委員に対して意見したい場合は、一呼吸おいて冷静な発言になるよう心がけましょう。 -
(5)一切譲歩しない態度
離婚調停は、話し合いの手続きになりますので、調停を成立させるためにはお互いに譲歩する姿勢を示すことが重要になります。
自分の希望する条件で離婚をしたいという気持ちも十分に理解できますが、一切譲歩しない態度は得策とはいえません。このような態度をとり続け、お互いの折り合いが付かなければ離婚調停が不成立となり、離婚裁判を行わなければならなくなります。離婚裁判になれば解決まで長い期間がかかり、希望する条件で離婚できるとも限りません。そのため、離婚調停ではある程度の譲歩も必要と心得ましょう。
3、離婚調停を有利に進めるには?
離婚調停を有利に進めるためのポイントとしては、以下のようなことが挙げられます。
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(1)離婚調停で聞かれることを把握しておく
離婚調停で不利になる発言をしないためにも、離婚調停で調停委員からどのようなことを聞かれるのかをあらかじめ把握しておくことが大切です。
離婚調停で主に聞かれる内容としては、以下のようなことが挙げられます。- 結婚した経緯
- 離婚を決断した理由
- 子どもに関すること
- 離婚後の生活に関すること
- 希望する離婚条件(親権、養育費、慰謝料、財産分与、面会交流など)
- 夫婦関係を修復できる可能性
- 現在の夫婦関係や生活状況
これらの項目についてどのように回答するかをまとめておけば、不利になる言葉を発するリスクを抑えることができるでしょう。
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(2)主張を整理し書面にまとめる
離婚調停では伝えたいことがある場合、書面で提出するのもおすすめです。
特に、伝えたい項目が多岐にわたり、情報量も多いような場合は、口頭での説明だけでは調停委員に理解してもらうのは困難です。また、調停委員に伝えるだけでほとんどの時間を使ってしまいますので、本題に入る前に調停期日が終わってしまいます。
主張を整理した書面をあらかじめ提出しておけば、調停委員も期日前に目を通してくれますので、要点に絞った話し合いを行うことができるでしょう。 -
(3)主張の裏付けとなる証拠を提出する
自分の主張の裏付けとなる証拠がある場合には、調停で証拠を提出することも重要なポイントになります。
調停は、裁判とは異なり事実認定を行う手続きではありませんが、主張の裏付けとなる証拠があれば調停委員も相手への説得を積極的に行ってくれる可能性が高まります。結果として、離婚調停が有利に進むことが期待できます。 -
(4)感情的にならない
離婚調停では、調停委員から相手の言い分を伝えられると、つい腹が立って感情的な態度をとってしまいこともあります。
しかし、感情的な態度や発言をしたとしても調停委員に悪い印象を与えるだけで、何のメリットもありません。相手の発言に腹が立つ気持ちも十分に理解できますが、調停の場では冷静に話すよう心がけてください。
4、離婚問題は弁護士にご相談を
離婚問題や離婚調停での発言に不安がある場合、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)離婚の話し合いを任せることができる
当事者同士で離婚の話し合いをするとどうしても感情的になってしまい、不利になる言葉を発してしまうことがあります。発言や言動によっては今後の離婚手続きで不利になる可能性もあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、相手との交渉や話し合いを任せることができるため、不利になる言葉を発するリスクは大幅に軽減されます。また、相手と話し合いをしなければならないという負担からも解放され精神的にも落ち着くでしょう。まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。 -
(2)離婚調停に同席してサポートしてもらえる
弁護士は、協議離婚だけでなく離婚調停のサポートも可能です。
具体的には弁護士が離婚調停の期日に同席して、依頼者の説明の補足や法的観点からの説明などを行います。また、相手から提示された離婚条件が適切なものであるかどうかも、その場で判断し、反論していくことも可能です。
不慣れな調停の場では、気を付けていても不利になる言葉を発してしまう可能性があります。実績のある弁護士にサポートを求めるのが安心です。
お問い合わせください。
5、まとめ
協議離婚や離婚調停は、話し合いにより離婚の成立を目指していく手続きになります。配偶者とのやり取りでは、思わぬ発言や行動で不利になることがあります。そのような言動は、具体的な離婚条件にも影響を与えるリスクがあるため、十分に注意しなければなりません。
さまざまな離婚手続きを、お一人で対応するのは負担が重いものです。不安なときは、ぜひ離婚問題の実績がある弁護士にサポートを求めてください。ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスには、離婚問題の実績がある弁護士が在籍しています。まずはお気軽にご相談ください。
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