子どもがいる場合、離婚の慰謝料は高くなるのか? 養育費はどうなる?

2025年07月02日
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子どもがいる場合、離婚の慰謝料は高くなるのか? 養育費はどうなる?

「人口動態統計の概況(概数)」によると、令和5年の千葉県の離婚件数は9151件で、離婚率は1.50件でした。千葉県では約1時間に1組の割合でカップルが離婚している計算になります。

配偶者の浮気やハラスメントが原因で離婚を考えていても、小さい子どもがいると決断に迷う方は少なくありません。子どもがいると離婚の慰謝料は増額されるのでしょうか。また、慰謝料と毎月の養育費は別々に請求できるのかも気になるところです。

この記事では、子どもがいる場合の離婚慰謝料への影響や、離婚や慰謝料の請求の流れ、離婚や慰謝料の請求を弁護士に相談すべき3つのメリットなどについて、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士が詳しく解説していきます。


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1、子どもがいる場合、離婚の慰謝料は高くなるのか?

離婚について、一方の配偶者に不貞やDV等の離婚に至る責任がある場合、他方の配偶者は離婚の慰謝料を請求できます
それでは、夫婦の間に未成熟の子どもがいる場合、離婚の際の慰謝料は増額されるのでしょうか。

一般的に、離婚して未成熟の子どもを養育する場合、子どもがいない夫婦と比べて、離婚における精神的な苦痛の度合いが大きいと評価されて、慰謝料相場が高くなる可能性があります。さらに、子どもの人数が多い場合にも、慰謝料が高くなる可能性があります。

ただし、離婚の慰謝料の具体的な金額については、離婚の原因や婚姻期間、夫婦それぞれの収入など、さまざまな事情を考慮して判断されます。たとえば、結婚期間が非常に短い場合や、子どもの親権を持つ側にも離婚の責任がある場合などには、慰謝料は低く算定されることがあります。
未成熟の子どもの有無やその人数については、あくまで慰謝料を算定するためのひとつの考慮要素であり、それだけで金額が大きく変わるわけではありません。

ご自身のケースで受け取れる慰謝料の金額の相場を知りたい場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします

2、子どもの養育費は慰謝料と別で請求できる

離婚をして子どもの親権者・監護親となる側の親は、慰謝料とは別に養育費を請求することができます

離婚すると法律上、夫婦関係は終了することになりますが、親子関係は消滅しません。離婚後、子どもの親権者とならなかった側の親(非監護親)も、子どもの養育義務は継続し、未成熟の子どもに対する養育費を支払う義務があります。

養育費とは、未成年の子どもや、または社会的に自立していない子どもがいる場合に、その子どもの養育に必要となる費用のことを指します。具体的には、子どもの食費や衣服費、家賃などの住居費のほか、公立学校の授業料・教材費などの教育費や、入通院・治療費などの医療費が含まれます。

このように養育費は、未成熟の子どもが自立するまでの期間に必要となる費用を親が負担するものであり、離婚する際の慰謝料とは性質が異なります。そのため、離婚の際の慰謝料と、将来必要となる子どもの養育費を相殺するということはできません。

そして、月々支払われるべき養育費の金額については、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に決定することが一般的です。父母の収入や子どもの人数、年齢などに応じて、標準的な養育費の金額の目安を知ることができます。

ベリーベスト法律事務所では、最新の養育費算定表に基づき、月額の養育費を簡単にシミュレーションすることができる「養育費計算ツール」をご用意しております。子どもの人数や年齢、養育費を受け取る側と支払う側の年収を入力することで、簡単に月額の養育費の概算を計算することができます。毎月の養育費の目安が知りたいという方は、ぜひご活用ください。

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3、離婚の流れ・慰謝料請求の手順

離婚や慰謝料を請求するためには、どのような手順で進めればいいのでしょうか。ここでは、離婚までの流れや慰謝料を請求の手続きについて解説していきます。

  1. (1)証拠を集める

    離婚は、夫婦間の話し合い(協議)によって成立させることができます。もっとも、相手が離婚することを拒否する場合には、離婚調停を申し立てる必要があります。離婚調停においても離婚について夫婦間で合意ができず離婚調停が不成立になった場合には、離婚訴訟を申し立てる必要があります。
    裁判で離婚や慰謝料請求を進める際には、主張を裏付ける証拠が重要になります。証拠があれば、離婚の成立や慰謝料の増額につながる可能性が高まります。

    特に、不貞行為(不倫)の証拠や、配偶者の資産状況を示す資料は、夫婦が同居している間に収集しておくのが望ましいでしょう。たとえば、以下のような証拠が有効です。

    • 不貞行為の証拠:メールやLINEのやり取り、写真、探偵の報告書など
    • DV・モラハラの証拠:診断書、写真、録音データ、警察や相談機関への相談履歴など
    • 資産状況の証拠:給与明細、預貯金通帳、不動産登記簿など


    証拠がない状態で慰謝料請求を進めるのは難しいため、慎重に準備を進めましょう。

  2. (2)離婚条件について配偶者と話し合う

    離婚については、「離婚するかどうか」だけでなく、さまざまな条件について配偶者と話し合う必要があります。協議離婚をする場合には、夫婦が離婚すること自体には合意できている場合であっても、離婚条件について折り合いがつかない場合には、話し合いがまとまらず、離婚が成立しないこともあります。

    夫婦が離婚をする際には、次のような事項について、話し合って決める必要があります。

    • 離婚をするかどうか
    • 別居期間の婚姻費用の分担について
    • 財産分与
    • 年金分割
    • 親権者の指定
    • 子どもの養育費や面会交流
    • 慰謝料
    など


    一刻も早く離婚を成立させたいからといって、上記のような離婚条件について十分に話し合わないまま離婚をしてしまうと、離婚後に困った事態に直面してしまうリスクがあります。本来受け取れたはずのお金や財産を受け取れず、離婚後の生活が苦しくなってしまうというケースも想定できます。

    そのため、夫婦が話し合って離婚をする際には、各種離婚条件について適切に取り決めをしておくことが重要です。ご自身だけで対応することに不安がある場合には、専門家である弁護士に相談したうえで手続きを進めるようにしてください

  3. (3)話し合いがまとまらない場合には離婚調停を申し立てる

    夫婦間での話し合いがまとまらない場合には、管轄の家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚)」を申し立てることになります。

    離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員会が当事者の間に入って、離婚の話し合いサポートする手続きです。調停委員会は、家庭裁判所の裁判官1名と、一般市民の中から選任された調停委員2名で構成されています。
    調停では、当事者が直接顔を合わせずに、それぞれが調停委員と話をする形式が一般的です。第三者が間に入ることで、感情的な対立を抑えつつ、冷静に話し合いを進めることができます。

    調停が成立した場合には、家庭裁判所が「調停調書」を作成します。この調停調書には、決定された離婚条件が記載され、確定判決と同じ効力を持つため、相手が約束を守らない場合に強制執行も可能です。調停調書は、数日〜1週間程度で自宅に郵送されます。
    調停が成立した日から10日以内に、市区町村役場に離婚の届け出を行うことで、離婚することができます。

  4. (4)裁判離婚を検討する

    離婚調停で調停が成立しなかった場合には、裁判を提起する必要があります。離婚調停はあくまで夫婦間の合意を目指す手続きであるため、合意がまとまらなければ家庭裁判所に離婚裁判を提起しなければなりません。

    離婚裁判は、夫婦のうち離婚を希望する側(原告)が、相手方配偶者(被告)を訴え、訴状を相手方またはご自身の住所地を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。

    ただし、裁判離婚を請求する場合には、以下のような民法に規定された一定の離婚原因に該当していなければなりません。このような一定の離婚理由を法定離婚事由といいます。
    具体的には、次のような理由が必要です。

    1. ① 配偶者に不貞行為があったとき
    2. ② 配偶者に悪意で遺棄されたとき
    3. ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    4. ④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(削除予定)
    5. ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

    ※④は、令和6年5月24日公布の改正民法(法律第33号)により削除予定です。(施行日は未定)

    離婚裁判では、原告と被告が証拠に基づき主張・立証を行い、最終的に裁判所が離婚の可否を判断することになります。離婚裁判にまで発展した場合には、弁護士に相談したうえで裁判手続きに対応してもらうことになるでしょう

4、離婚の慰謝料請求を弁護士に相談する3つのメリット

離婚の慰謝料を請求する際、弁護士に相談するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、弁護士に依頼することで得られる3つのメリットを解説します。

  1. (1)慰謝料や養育費の請求を有利に進められる可能性がある

    弁護士に相談することで、慰謝料や養育費の請求を有利に進められる可能性があります。法的な観点から主張を整理し、適切な慰謝料や養育費の請求額を算定や証拠の収集をサポートしてもらえるため、相手方との交渉を有利に進めやすくなります。

    弁護士に相談すれば、離婚理由や相手方配偶者の過失の程度などを法的に評価してもらえます。相手が慰謝料の支払いを拒否している場合や、適正な金額での合意が難しい場合でも、弁護士が代理人となって交渉を行うことで、納得のいく解決を目指せるでしょう。

  2. (2)精神的なストレスを軽減できる

    離婚は感情的な対立を伴うことが多いため、相手方配偶者と直接交渉することには精神的な負担が大きくなる可能性があります。弁護士に依頼すれば、相手方との交渉や書面のやり取りをすべて任せることができるため、直接やり取りをするストレスが軽減されます。

    特に、不倫やDVが原因で離婚する場合は、相手と対峙(たいじ)すること自体が苦痛になることもあります。そのような状況でも、弁護士が間に入ることで、冷静かつ適切な対応をとることができます。

  3. (3)調停や訴訟などの法的手続きにも対応できる

    離婚問題が調停や訴訟などの裁判手続きに発展した場合であっても、弁護士に依頼しておけば引き続き対応を任せることができます。

    • 調停:調停委員とのやり取りや、主張の整理をサポート
    • 裁判:証拠の収集、書面の作成、法廷での主張を代行
    • 強制執行:相手が慰謝料や養育費を支払わない場合の対応


    このように、弁護士に依頼することで、離婚に関するさまざまな法的手続きをスムーズに進めることが可能です。

5、まとめ

離婚をする際に、未成熟の子どもがいる場合には、慰謝料の請求額が増額される可能性があります。離婚手続きをスムーズに進めるためには、離婚の原因となった証拠を集めておくことが重要です。

慰謝料の金額は離婚の原因や婚姻期間、収入などによって異なるため、具体的な金額を知りたい場合は弁護士に相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスには、離婚問題の解決実績のある弁護士が在籍しています。離婚や慰謝料、養育費についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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