交通事故で坐骨神経痛になった被害者が知るべき慰謝料獲得方法

2024年07月31日
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交通事故で坐骨神経痛になった被害者が知るべき慰謝料獲得方法

2023年度に千葉県木更津市内で発生した交通事故は411件でした。交通事故でお尻を強打した場合などには、坐骨神経痛を発症することがあります。

坐骨神経痛になった被害者は、加害者側に対して慰謝料などの損害賠償を請求することができます。弁護士のサポートを受け、適正額の損害賠償の獲得を目指しましょう。

本記事では、交通事故によって生じた坐骨神経痛について損害賠償を請求する際の注意点を、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士が解説します。

出典:「令和5年中の交通事故発生状況」(千葉県警察)


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1、交通事故によって坐骨神経痛になる原因と予後

「坐骨神経痛」とは、お尻から足にかけての坐骨神経が圧迫・刺激されることが原因で生じる、痛みやしびれなどの症状をいいます。

交通事故によってお尻を強打した場合や、股関節を捻挫した場合などには、腰椎椎間板ヘルニア等の圧迫や刺激が生じて坐骨神経痛を発症することがあります。

坐骨神経痛は外科手術を行わず、保存的に治療されることが多いといわれます。
坐骨神経痛が軽快するまでの期間は2か月から3か月程度が平均的ですが、半年程度長引くケースもあります。

また、坐骨神経痛による痛みやしびれは、治療を尽くしても消えきらずに残ってしまうケースがあります。
交通事故に起因する坐骨神経痛が完治せず、後遺症が残ったときは、後遺障害等級の認定を受けましょう。

2、坐骨神経痛の損害賠償(慰謝料)に関する基礎知識

交通事故によって坐骨神経痛を発症した被害者は、加害者側に対して慰謝料その他の損害賠償を請求できます

  1. (1)坐骨神経痛について請求できる慰謝料の種類

    坐骨神経痛について請求できる慰謝料には、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類があります。

    1. ① 入通院慰謝料
      坐骨神経痛の治療等のために入院や通院を強いられたことにより、被害者が受けた精神的損害を補填(ほてん)する慰謝料です。
      けがの重症度や入院・通院の期間に応じて金額が決まります。

    2. ② 後遺障害慰謝料
      坐骨神経痛の後遺障害を負ったことについて、被害者が受けた精神的損害を補填する慰謝料です。認定される後遺障害等級に応じて目安額が決まります。
  2. (2)坐骨神経痛について請求できるその他の損害賠償

    坐骨神経痛については、慰謝料以外にもさまざまな項目の損害賠償を請求できます。
    坐骨神経痛を患った被害者が賠償を請求できる損害項目の例は、以下のとおりです。

    損害項目 損害の内容
    治療費 坐骨神経痛の治療やリハビリのために、医療機関や薬局に対して支払った費用
    装具・器具購入費 坐骨神経痛の治療やリハビリのために購入した、コルセットやサポーターなどの装具・器具の購入費用
    付添費用 入院した被害者に家族などが付き添った場合の費用
    入院雑費 入院中における日用品等の購入費用
    通院交通費 坐骨神経痛の治療やリハビリを目的とした通院の際に要した交通費
    休業損害 坐骨神経痛の治療やリハビリのために、仕事を休んだことによって得られなかった収入
  3. (3)適正額の損害賠償(慰謝料)を受け取るための注意点

    坐骨神経痛について適正額の損害賠償(慰謝料を含む)を受け取るためには、交通事故の直後から医療機関を受診することと、医師の指示に従って通院を継続することが大切です

    事故直後から医療機関を受診することにより、交通事故と坐骨神経痛の間の因果関係を、医師の診断書等によって立証しやすくなります。
    これに対して、交通事故の発生から医療機関を受診するまでの期間が大きく空いてしまうと、交通事故と坐骨神経痛の間の因果関係の立証が難しくなるので注意が必要です。

    医師の指示に従って通院を継続することも、因果関係を立証しやすくする観点から非常に重要です。勝手に通院をやめてしまうと、特に後遺症を負った場合に因果関係の立証が困難になるほか、症状の悪化を招くおそれもあります。医師に指示された頻度で、継続的に通院しましょう。

    なお、接骨院や整骨院については、通院しても治療費などの損害賠償請求が認められないことがあります。交通事故によるけがについては、必ず整形外科医の診察を受けましょう。

3、坐骨神経痛の後遺障害等級認定|認定される等級による違いは?

交通事故によって生じた坐骨神経痛が完治せず、痛みやしびれなどの後遺症が残った場合には、後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。

認定される後遺障害等級に応じて、被害者は加害者側に対して後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができます。等級によって後遺障害慰謝料と逸失利益の額が大きく変わるので、適正な等級の認定を受けられるように準備を進めましょう。

  1. (1)坐骨神経痛の後遺症について認定され得る後遺障害等級

    交通事故によって生じた坐骨神経痛の後遺症については、以下の後遺障害等級が認定される可能性があります。

    後遺障害等級 後遺症の内容
    12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
    14級9号 局部に神経症状を残すもの


    12級13号の認定を受けるためには、交通事故と後遺症の間の因果関係が、医学的・客観的に立証可能であることが必要です。

    具体的には、後遺症の原因が画像検査(レントゲン・MRI・CTなど)における所見に表れており、かつそれが交通事故によって生じたことが明らかであることが必要になります。

    医学的・客観的な証明まではできなくても、交通事故と後遺症の間の因果関係を医学的に説明可能である場合は、14級9号の認定を受けられる可能性があります。

    14級9号については、自覚症状のみでも認定されることがあります。医師の指示に従って継続的に通院し、後遺症の治療経過を説明してもらえるようにすることが、適切な後遺障害等級の認定を受けるためのポイントです。

  2. (2)等級別|後遺障害慰謝料の目安額

    後遺障害慰謝料の金額は、認定される後遺障害等級によって下表のとおり目安が決まっています。

    後遺障害等級 後遺障害慰謝料
    1級 2800万円
    2級 2370万円
    3級 1990万円
    4級 1670万円
    5級 1400万円
    6級 1180万円
    7級 1000万円
    8級 830万円
    9級 690万円
    10級 550万円
    11級 420万円
    12級 290万円
    13級 180万円
    14級 110万円


    坐骨神経痛の後遺症について認定され得る等級については、12級13号であれば290万円、14級9号であれば110万円が後遺障害慰謝料の目安です。

    なお、ほかにも後遺症を負った場合には、さらに高い等級に相当する後遺障害慰謝料が認められることがあります。

  3. (3)等級別|逸失利益の労働能力喪失率

    交通事故によるけがが完治せずに後遺症を負った場合、被害者の労働能力の全部または一部が失われ、将来にわたって得られる収入が減少すると考えられます。この場合、収入の減少分(=逸失利益)について加害者に損害賠償を請求可能です。

    逸失利益の金額は、以下の式によって計算します。

    逸失利益
    =1年当たりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数


    ※1年当たりの基礎収入:原則として事故前の年収の実額。ただし専業主婦(専業主夫)の場合は、賃金センサスに基づく女性労働者の全年齢平均給与額を用います。

    参考:就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省


    労働能力喪失率の目安は、認定される後遺障害等級によって以下のとおり目安が決まっています。

    後遺障害等級 労働能力喪失率
    1級 100%
    2級 100%
    3級 100%
    4級 92%
    5級 79%
    6級 67%
    7級 56%
    8級 45%
    9級 33%
    10級 27%
    11級 20%
    12級 14%
    13級 9%
    14級 5%


    坐骨神経痛の後遺症に関する労働能力喪失率は、12級13号であれば14%、14級9号であれば5%が目安です。

    なお、労働能力喪失期間は原則として事故当時の年齢に応じた就労可能年数を用いますが、後遺症の程度が軽微な場合は、通常よりも短縮されることがあります。

    坐骨神経痛の後遺症として生じ得る神経障害のうち、12級13号については10年程度、14級9号については5年程度に労働能力喪失期間が限られることが多いです。

4、坐骨神経痛に関する損害賠償は、弁護士に依頼すれば増額が期待できる

交通事故によって生じた坐骨神経痛に関する損害賠償請求は、弁護士にその交渉を依頼することによって増額が期待できます。その理由は以下のとおりです。

  • 被害者が受けた損害を漏れなく把握し、積算してもらえる
  • 適正な基準(弁護士基準)によって損害額を計算し、請求できる
  • 事故の状況を適切に反映した過失割合を主張できる


加害者(または保険会社)の提示額に納得できない場合は、弁護士に代理対応をご依頼ください。適正額の損害賠償を得られるように、弁護士が専門家としてご対応いたします。

5、まとめ

交通事故に起因して坐骨神経痛を発症した方は、加害者側に対して損害賠償を請求しましょう。特に痛みやしびれなどの神経症状が残った方は、損害賠償の額を大幅に増額できる可能性がありますので、弁護士へのご相談をおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、交通事故の損害賠償請求に関するご相談を随時受け付けております。被害者が適正額の損害賠償を受けられるように、交通事故の解決実績がある弁護士とメディカルコーディネーターが交通事故専門チームを組成し、親身になってご対応いたします。

交通事故による坐骨神経痛に関する損害賠償請求は、ぜひベリーベスト法律事務所 木更津オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています